この会話劇のおすすめポイント
- YouTubeで動画が伸びない本当の理由を、科学的な考え方で分かりやすく解説。
- 初心者YouTuberが陥りやすい失敗と、その改善方法を会話形式で楽しく学べる。
- クリック率・視聴維持率・チャンネルの専門性など、YouTube運営の基本をやさしく理解できる。
登場人物紹介
レン
- アンの姉。
- YouTubeで「アンとレンの科学と哲学」という漫画チャンネルを運営している。
- 視聴者と同じ目線で悩みや疑問を口にしながら、一歩ずつ成長していく主人公。
アン
- 科学と哲学が大好きな妹。
- YouTubeの仕組みや心理学、学習科学などを分かりやすく解説する役。
- 「答えを教える」のではなく、「考え方」を伝えることを大切にしている。
YouTubeで動画が伸びない本当の理由
レン
「アン、実はずっと黙ってたことがある。」
アン
「どうしたの?そんな真剣な顔して。」
レン
「実はYouTubeを始めて15本動画を投稿したんだ。でもチャンネル登録者は10人。再生回数は良くて1日に5回、見られない日は0回。本当は登録者1000人を超えたら『実はやってました。』って言うつもりだった。でも、このまま続けても意味があるのか分からなくなってきた。」
アン
「えっ!?YouTubeやってたの!?それだけ悩んでたなら、もっと早く相談してよ。どんなチャンネルなの?」
レン
「『アンとレンの科学と哲学』っていうマンガチャンネル。『科学で世界を理解し、哲学で意味を考える。スキマ時間でサクッと楽しく学べる。』をコンセプトにして、4分くらいの動画を週に1本投稿してる。」
アン
「なるほど。私たちの日常をマンガ動画にしたんだね。見せて。」
レンはスマホをアンへ渡した。
アン
「最新動画は『【漫画】金縛りで見た幽霊の正体とは?最後の考察が怖すぎる。姉妹の15話』か。」
数分後──。
レン
「……どうだった?」
アン
「面白い。」
レン
「本当に?お世辞じゃなく?」
アン
「もちろん。本当に面白い。でもね、『面白い動画』と『伸びる動画』は必ずしも同じじゃないんだ。」
レン
「え?面白ければ自然と再生されるんじゃないの?」
アン
「そう思うよね。でもYouTubeでは、面白さだけじゃ足りない。まずクリックされること。そして最後まで見てもらうこと。さらに『このチャンネルの次も見たい。』と思ってもらうこと。その全部がそろって初めて、伸びやすい動画になるんだ。」
レン
「じゃあ、私の動画は何が足りないんだろう。」
アン
「まず気になったのは、お姉ちゃんが15本で結果を出そうとしていること。」
レン
「でも15本って、私にはすごく長かったよ。一本作るのに何日もかかるし、見られない動画を作り続けるのは本当に苦しい。」
アン
「その気持ちはすごく分かる。でも一般的には、1本から30本くらいまではYouTube側がチャンネルのテーマや方向性を認識していく初期段階と言われているの。」
レン
「じゃあ、まだスタートライン?」
アン
「そう。そして50本から100本くらいになると、YouTubeのアルゴリズムがチャンネルのデータを蓄積しておすすめに載る確率が高くなるの。」
レン
「100本……正直、この状況でそこまで続けるのは精神的につらいよ。」
アン
「だから100本先を見なくていい。」
レン
「え?」
アン
「見るのは16本目だけ。」
レン
「16本目?」
アン
「16本目を15本目より少し良くする。その次は17本目。その積み重ねが100本になるんだよ。」
レン
「でも、本当にそんなふうに伸びたチャンネルってあるの?」
アン
「あるよ。例えば『フェルミ漫画大学、とれとれチャンネル』のように、最初から何万回も再生されていたわけじゃなく、投稿と改善を積み重ねながら成長したチャンネルもある。」
レン
「じゃあ、15本で伸びなくても珍しいことじゃないんだ。」
アン
「うん。だから15本で『向いてない』と決めるには、まだ早いよ。」
アン
「それと、お姉ちゃんの視聴維持率は?」
レン
「30%くらい。」
アン
「4分動画なら平均で1分ちょっと見られている計算だね。まずは40%を目標にしてみよう。視聴維持率だけで動画の評価が決まるわけじゃないけど、最後まで見てもらえる人が増えれば、動画全体の評価にも良い影響を与える可能性があるから。」
レン
「どうすれば上がる?」
アン
「一番改善したいのは冒頭かな。」
レン
「最初の10秒?」
アン
「そう。説明から始めるより、『この先どうなるんだろう?』と思わせる場面から始める方が続きを見てもらいやすいことが多い。それから同じ画面を長く見せないこと。3〜5秒ごとに表情や構図を変えるだけでも、動画のテンポはかなり良くなるよ。」
レン
「なるほど。」
アン
「それから、終わり方もすごく大事。」
レン
「終わり方?」
アン
「心理学には『ピーク・エンドの法則』という考え方があるの。人は作品全体よりも、『一番印象に残った場面』と『最後』を強く記憶する傾向があるんだ。」
レン
「じゃあ、『ご視聴ありがとうございました。』だけで終わるのはもったいない?」
アン
「その通り。動画の最後は、ただ挨拶をする時間じゃない。」
アン
「動画の最後、つまりエンドに、きれいにまとまる締めの言葉や印象に残る終わり方を入れることで、『良い動画だった。』という記憶が残りやすくなるんだ。」
レン
「なるほど。最後の10秒が、その動画全体の印象を決めるんだね。」
アン
「そう。そして最後に『次も見たい。』と思ってもらえれば、その一本で終わらず、チャンネル全体を好きになってもらえる可能性も高くなる。」
レン
「そういえば、もう一つ悩みがある。」
アン
「何?」
レン
「『ジャンルを絞った方がいい。』ってよく言われるんだ。料理もあるし、富士山もあるし、幽霊もあるし、一つに絞った方がいいのかな。」
アン
「私はそうは思わない。」
レン
「え?」
アン
「お姉ちゃんが作っている動画は」
アン
「料理を科学と哲学で考える動画。」
アン
「自然を科学と哲学で考える動画。」
アン
「幽霊を科学と哲学で考える動画。」
アン
「テーマは違って見える。でも『科学で世界を理解し、哲学で意味を考える。』という軸は全部同じだよね。」
レン
「つまり、ジャンルじゃなくて、考え方を統一するってこと?」
アン
「その通り。それに、お姉ちゃんが作っているのは、私たちの日常をマンガで描きながら、科学や哲学を楽しく学べる教育チャンネルなんだよ。」
レン
「教育チャンネル……。」
アン
「だから大切なのは、一つのテーマだけを扱うことじゃない。どんなテーマでも、『アンとレンならどう考えるのか。』を伝えること。その積み重ねが、このチャンネルだけの個性になるんだ。」
レン
「ありがとう、アン。」
アン
「投稿頻度も今の週1本で十分。無理に本数を増やして質を落とすより、一週間かけて一本を磨いた方が、お姉ちゃんのチャンネルには合っていると思う。」
レン
「よし。」
レン
「100本先を見るんじゃない。」
レン
「まずは16本目を、15本目より少しだけ良くする。」
アン
「その気持ちを忘れなければ大丈夫。」
アン
「そういえば、次はどんな動画を作るの?」
レン
「僕たちの前世の話だ!」
アン
「次はいよいよ、お姉ちゃんの前世。」
レン
「僕たちがどうして科学と哲学に興味を持つようになったのか。その原点の話。」
レン
「全部話すよ。」
「伸びるかどうかは分からない。でも、この動画だけは絶対に作りたい。その気持ちが、一番大切なんだよ。」
