■おすすめポイント
・フライパン1つで作れる“別次元のカレー”を、科学的な理由つきで分かりやすく解説
・「料理は科学」をテーマに、にんにく・バター・加熱順の意味まで会話で自然に理解できる
・暴走するレンと冷静なアンの掛け合いで、料理回なのにコメディとしてもテンポが良い
■登場人物
・レン:感情全開で“美味い”に人生を賭ける哲学系の姉
・アン:料理を科学として考える、合理的で天才肌の妹
世界一のカレー
アン「——本日のアンのお料理クッキング」
アン「今日作るのは、“世界一のカレー”」
アン「目標は、“今まで食べたどのカレーよりも美味い”」
アン「しかも今回は——」
アン「フライパン1つで作る」
アン「料理は科学だから」
アン「“時短”と“美味しさ”を両立する」
アン「今回は2人分」
アン「調理時間は約25分」
アン「1人前の料金は約300円」
アン「材料はこちら」
アン「豚こま肉300グラム」
アン「玉ねぎ1個」
アン「にんじん1/2本」
アン「じゃがいも1個」
アン「にんにく2片」
アン「バーモントカレー4かけ」
アン「水600cc」
アン「サラダ油大さじ1」
アン「バター10グラム」
アン「ウスターソース小さじ2」
アン「砂糖小さじ1」
アン「まず、玉ねぎ・にんじん・じゃがいもを切る」
トントントン……
アン「大きさを揃えると火の通りも揃う」
アン「加熱ムラを減らすだけで完成度が上がるが、私はジャガイモの食感が好きなので少し大きくする」
アン「切った野菜を耐熱容器へ」
アン「ラップをして、500W〜600Wで3〜5分レンジ加熱」
ウィーン……
アン「この時短テクニックを使えば野菜が万遍なく温ま柔らかくなる」
アン「そして先に内部を温めることで、煮込み時間をかなり短縮できる」
ジュウゥゥ……
アン「次にフライパンへサラダ油大さじ1」
アン「温まったら、豚肉とレンジ加熱した野菜を投入して炒める」
ジュウウウ!!
アン「表面を焼くことで香ばしさを追加」
アン「肉の旨味も野菜へ移る」
アン「豚肉の色が変わったら——」
アン「水600ccを入れる」
ジュワァ……
アン「中火で煮込みます」
コトコト……
アン「じゃがいもとにんじんが柔らかくなるまで加熱」
アン「そしてここで——」
アン「にんにく」
アン「ガーリックプレスで潰して投入」
ギュッ……
アン「最初じゃなく“後半”に入れるのがポイント」
アン「香りが飛びにくい」
アン「にんにく感が一気に強くなる」
アン「ここで——」
アン「バーモントカレー4かけ投入」
アン「さらにバター10グラム」
ジュワッ……
アン「脂肪分でコクと香りを追加」
アン「ウスターソース小さじ2」
アン「酸味とスパイス感を強化」
アン「最後に砂糖小さじ1」
アン「甘くするんじゃなく、“味の角”を丸くするため」
アン「弱火で5分ほど煮込む」
コトコト……
アン「これで完成」
アン「フライパン1つ、25分」
アン「“別次元のカレー”です」
レン「……なにこれ・・強烈にいい匂いだな」
アン「カレーだけど褒め言葉?」
レン「脳を直接攻撃してくるタイプの香りだ」
アン「料理は科学だから」
レン「その台詞、万能だな」
レン「いただきます!」
アン「どうぞ」
レン「——ッ!!」
アン「うるさ」
レン「なにこれ、別次元のカレーじゃないか……!」
アン「だからそう言った」
レン「玉ねぎの甘みの後にスパイスが来る……!」
アン「計算済み」
レン「豚肉の脂が暴力的に美味い!」
アン「語彙どうなってるの」
レン「うおおおおお!!」
ガツガツガツ!!
アン「ちょっ、お姉ちゃん!?」
レン「美味すぎる!!」
アン「食べ方!!」
レン「止まらん!!」
アン「犬なの!?」
レン「カレーは飲み物だ!!」
アン「違う!!」
レン「この熱量、この刺激、この旨味——!」
アン「落ち着いて食べて!」
レン「落ち着いていられるか!!美味いものの前で理性など無意味!!」
アン「下品すぎる!マナーを守って食事して!」
レン「トラは食事のマナーを気にしないぞ!」
アン「人間はトラじゃないの!!」
レン「だが“美味い!”って感情を抑える方が不自然だ!」
アン「抑えろとは言ってない! せめて口閉じて食べて!」
アン「そもそも、その食べ方だと味わえてないでしょ」
レン「いや、感じている」
アン「何を」
レン「生命の爆発を」
アン「カレーで?」
レン「この旨味の洪水……!」
アン「もうちょっと静かに感動して!」
レン「無理だ! このカレー、人類を狂わせる!」
アン「狂ってるのはお姉ちゃんだから!」
レン「おかわり!」
アン「あいかわらず早いわね……」
アン「そこまで美味しいならもっと綺麗に食べてよ!」
レン「なぜだ?」
アン「作った側として悲しい!」
レン「……」
アン「食べ方って、“相手への敬意”でもあるんだから」
レン「敬意……」
アン「そう」
レン「つまりお前は、“料理そのもの”じゃなく、“作った人間”を見ろと言ってるのか」
アン「……まあ、簡単に言えば」
レン「なるほどな」
アン「分かった?」
レン「つまり私は今、カレーに夢中すぎて、お前の努力を見失っていた」
アン「……ちょっと大げさだけど」
レン「すまん」
アン「……別にいいけど」
レン「じゃあ改めて」
アン「?」
レン「いただきます」
アン「……うん」
レン「今度はちゃんと味わう」
アン「その方が作った側は嬉しい」
レン「……美味いな」
アン「さっきからずっと言ってる」
レン「いや、今のは少し違う」
アン「?」
レン「これは“腹が満たされる味”じゃない」
アン「じゃあ何」
レン「帰ってきたくなる味だ」
アン「……」
レン「やっぱり、料理って科学だけじゃないな」
アン「……そうかもね」
レン「……でも、こういう飯を一緒に食べてる時が、一番“生きてる”って感じするな」
アン「……大げさ」
レン「大げさじゃない。美味いって、ちゃんと幸せなんだな」
アン「……じゃあ次は、もっと美味しいの作ってあげる」
あの日のカレーの匂いだけは、きっとずっと忘れない。
