■おすすめポイント
・超加工食品(カップ麺・菓子・炭酸)の食生活が、糖尿病や健康リスクにどう繋がるかを会話で具体的に理解できる
・フェルミ推定と現実的な症状(透析・視力低下など)で「将来のリスク」をイメージできる構成
・「今の快楽 vs 将来の健康」を哲学と科学の対立で描き、読者自身の選択を考えさせる
■登場人物
レン:今の幸福を優先する哲学タイプの姉、感情的で極端な選択をしがち
アン:食生活と健康リスクを科学で考える天才の妹、合理的で現実主義
レン「親がヨーロッパに1週間旅行でいないので姉の僕が親代わりになる。料理は任せてくれ」
アン「その時点で不安なんだけど」
レン「見ろ、今日は私の好きな食べ物を集めた完璧な食卓だ」
アン「……カップ麺、ポテチ、コーラ、菓子パン、グミ。終わってる」
レン「豪華だろ?」
アン「ただの超加工食品フルコースよ。栄養バランス崩壊してる」
レン「栄養ってのは“概念”だ。人間が勝手に定義した価値に過ぎない」
アン「はいはい哲学モードね。でも現実は体に出るの」
レン「じゃあ聞くけど、これ食べたら僕は“すぐ死ぬ”のか?」
アン「極論やめて。問題は“積み重ね”」
レン「積み重ねなら、人生全部そうだろ?」
アン「言っても分からなそうだから、数字でいくね。フェルミ推定してあげる」
アン「仮に毎日こういう食事を続ける人がいるとする。平均より太りやすくなるし、血糖値もずっと高めになる」
レン「ふむ」
アン「それが何年も続くと、体がうまく処理できなくなって糖尿病に近づく」
レン「“近づく”ね」
アン「ここからが現実。血糖値が高い状態が続くと、まず腎臓に負担がかかる」
レン「腎臓?」
アン「うん。悪化すると、自分の体で血液をきれいにできなくなって、透析が必要になることもある」
レン「それは面倒どころじゃないな」
アン「それだけじゃない。目の細い血管も傷つくから、視力が落ちたり、最悪見えなくなることもある」
レン「……」
アン「足も同じ。血流が悪くなって足まで届かず傷が治りにくくなる」
レン「嫌な予感しかしないな」
アン「放置すると傷が悪化して、最悪の場合は切断が必要になることもある」
レン「……そこまでいくのか」
アン「日本でも、糖尿病の影響で足を失う人は年間で約1万人くらいと推定されてる」
レン「数字で聞くと急に現実だな」
アン「全部いきなり起きるわけじゃない。でも“積み重ねの先”にある」
レン「つまり“ちょっとずつ死に近づく”ってことか」
アン「雑に言えばそう」
レン「じゃあさ」
アン「なによ」
レン「健康的な食事をしたら、“死なない”のか?」
アン「……死ぬわよ、最終的には」
レン「なら違いは“いつか”だけだ」
アン「その“いつか”が大事なの!」
レン「でも人間は、いつ死ぬか分からない」
アン「だからこそリスクを減らすの!」
レン「リスクをゼロにはできないのに?」
アン「ゼロじゃなくても“下げる意味”はあるでしょ」
レン「その“意味”は誰が決める?」
アン「……本人に決まってる」
レン「なら僕は、今この瞬間の幸福を取る」
アン「短期快楽バカ」
レン「アンは?」
アン「私は“長く元気でいる確率”を取る」
レン「確率、か。面白いな」
アン「なにがよ」
レン「人生を“期待値”で生きてる」
アン「合理的って言って」
レン「でもさ」
アン「まだ何かあるの?」
レン「その合理性で、“今のこのポテチの美味さ”は測れるのか?」
アン「……無理よ、主観だから」
レン「だろ?だから僕は食べる」
アン「……」
レン「不満そうだな」
アン「極端すぎるの」
レン「極端は分かりやすい」
アン「でも壊れやすい」
レン「……うるさいな」
アン「え?」
レン「なら食べなきゃいいだろ!!」
アン「っ…!」
レン「そこまで言うなら、僕の飯なんて食うなよ!」
アン「……そういう言い方、やめて」
レン「じゃあアンはどうする」
アン「……私は」
レン「食うのか、食わないのか」
アン「食べるよ」
レン「ほらな」
アン「でも、このままは嫌」
レン「なら?」
アン「食事は私が作る」
レン「は?」
アン「栄養も、美味しさも、両方取る」
レン「できるのか?」
アン「できる。」
レン「わかった それなら……条件がある」
アン「なによ」
レン「たまにポテチを入れてくれ」
アン「量は私が決める」
レン「交渉成立だな」
アン「ほんと手がかかる」
レン「今日は特別に」
アン「……」
レン「コーラで乾杯だ」
アン「不健康すぎる乾杯ね」
レン「でも、悪くないだろ?」
アン「……少しだけね」
今の快楽を取るか、将来の健康を守るか、答えを決めるのは、いつだって自分だ。
